本記事は、藏本 猛Jr氏の著書『資産を速く・大きく増やせる ラーメン店投資の極意』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。

ラーメン屋
(画像=voyata / stock.adobe.com)

成功する人は俯瞰でお店をチェックする、
成功しない人は細部までチェックする

オーナーには自分のお店にできるだけこまめに顔を出して欲しいですし、現金の回収を含めて管理もして欲しいのですが、あまり頻繁に現場に入り込むことはよくありません。

この辺りの塩梅は難しいのですが、たとえば店長やスタッフが萎縮するほどに口を出さないほうがよいのです。

時折、店内をチェックしようとして黙って店内で立っているオーナーさんがいますが、これはスタッフにとってもお客様にとっても邪魔になってしまいます。せめて、入店されたお客様に「いらっしゃいませ」と声をかけているのであればいいのですが、むっつりとただスタッフの仕事を監視しているのは、スタッフにとって威圧感がありますし、お客様にとっても不気味に感じられます。

そのようなオーナーさんがいると、私は「何も言わないなら店内にいないほうがいいですよ」と伝えています。

特に飲食業や接客業と無縁だったオーナーさんにとっては、自分のお店の中の様子を見ていることに飽きないようで、本当にずっと見ているだけのオーナーさんがいます。それでも「自分の店にいて何が悪い」と言う人もいるので困ることがあります。

また、いちいちお店に足を運ぶのが面倒だけれども、店長やスタッフは信用できないからといって、店内に監視カメラを何台も設置して営業時間中ずっと監視しているオーナーさんもいます。

スタッフの姿が少しでも見えなくなったり、映像で見ているだけではよく分からない行動をとったりすると、すぐに電話して「今、○○さんは何をしているのか?」と確認してきます。

これも監視されているようでスタッフにとっては不快でしかありません。しかもお客様が多い忙しい時間帯であれば、なおさらです。もしカメラで見ていたとしても、ことあるごとに電話するのは避けるべきです。問題があれば1週間や1カ月の区切りでまとめて指示したり、注意したりすればよいでしょう。

確かにお客様が少ない時間帯にサボるスタッフもいますが、執拗に監視すると萎縮させたり信頼関係を壊してしまったりして、スタッフが居着かないようになります。

したがって、オーナーは基本的な姿勢として、店内のオペレーションは店長やスタッフに任せて、より高い位置から俯瞰してお店を見る必要があります。つまりスタッフたちとは少し距離をとるのです。

少し抽象的な表現になりましたが、オーナーである投資家さんたちのほとんどは接客業の現場や飲食店の現場で働いたことがありません。また、人を雇ったこともありません。そのため、スタッフの気持ちやお客様の気持ちが分かりにくいのです。

ですから、細かな指導をしたりいちいち疑ったりするのではなく、気持ちの良い店内の雰囲気が保たれているかどうか、お客様に不快感を与えるようなだらしなさやつっけんどんな雰囲気が出ていないか、店内の清潔感が保たれているかどうか、きびきびとした手際の良さが感じられるかどうかなどをチェックするようにします。

成功する人は適正額を投資して、
成功しない人は過剰な額を投資する

投資といえば、種銭は大きいほどよいと考えがちですが、ラーメン店投資に関しては極端に大きな金額を投資すると、かえってうまくいかない場合があります。

ラーメン店投資は500万円くらいから始められますが、この金額ですとかなり資金的な制約があり、立地や店舗規模などの面で我慢しなければならないことが多くなります。1,000万円前後の資金を用意できると理想的な立地と店舗を用意でき、さらに広告宣伝に回す予算も確保できるため、成功しやすくなります。

ところが3,000万円出せる人の場合は、新たな問題が出てきます。それは、こだわりが強すぎるあまり、投資を成功させるために必要な金額を遥かに超えて、過剰にお金を投じてしまうことです。

たとえば内装でカウンターに樹齢何十年ものの一枚板を使うなどです。そのようなところに大金をかけても、売り上げには影響がありませんので、費用を回収できません。このようなところにかけるお金があるのなら、広告宣伝やホームページにかけるほうが売り上げにつながります。

ところが資金がある人に限って、広告宣伝のような無形のものにはお金をかけたがりません。贅沢なカウンターや調度品、こだわりのテーブルなど、有形で残るものにお金をかけたがるのです。

気持ちは分かります。自分のお店ですからできるだけ立派にしたいし、こだわりたい。しかし、ラーメン店投資はあくまで投資ですから、早く確実に回収できなければ成功とはいえません。

ですから、資金力のあるオーナーさんの過度に立派なお店がオープンしたとき、オーナーさんはとても満足された表情で嬉しそうにお店を見ているのですが、私のほうはといえば、これだけの投資額をどうやって早く回収しようかと頭を抱えていることが多いのです。

もし、回収率が悪ければ、私のコンサルティングが悪かったのではないかという話にもなりかねません。それほど投資家であるオーナーさんの成功に対する責任が私にはあります。

ですから、これまでの実績から言えるのは、ラーメン店投資に適した資金は1,000万円前後で、資金に余裕がある場合は売り上げに関係のないこだわりに使うのではなく、広告宣伝やホームページ(特に英語版)に投じることが成功への近道ということです。

ラーメン店投資の極意
藏本 猛Jr
ラーメンプロデューサー
一般社団法人国際ラーメン協会 代表

1969年神奈川県生まれ。
1996年、27歳で父親が経営するゴルフ場の社長に就任。200億円の負債を抱えるも、多くの人に助けられ帳消しにし、10年間の社長生活を終える。
その後、ゴルフ場で人気だった「ラーメン」に着目。ラーメン店の開業を目指し、スープや麺の研究を始め、メーカーからの製品化を果たす。
2010年に東京で開業。その後、直営店を15店舗まで拡大した後、全店舗を無償で譲渡。
2014年にラーメンプロデューサーとして活動を開始。現在、月100件以上の依頼が殺到し、プロデュース実績は450店以上。
2019年に一般社団法人国際ラーメン協会を設立。日本のラーメン文化を海外に発信、海外出店のサポート活動を行う。
2020~2022年のコロナ禍においても50店舗以上の出店をサポートし、フランチャイズ化に成功したお店も多数輩出。出店場所の設定からオープンまでをワンストップでサポートするほか、海外出店のサポートも行う。

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